鉄のフライパンは1日あれば育ちます。手間隙かけて育てなくても問題ありません。
はじめに
鉄のフライパンを育てるにあたり、前記事では理屈に絞った情報をまとめ、解説をしました。要約すると、加熱して黒錆を作ったフライパンに不飽和脂肪酸を多く含む油を塗り加熱してコーティングを作るといったところです。
本記事はその理屈に基づいた処理をするものです。また、実際の使い方についても紹介します。
鉄のフライパンを育てる手順
手順は次の通りです。新品のフライパンを想定した手順としています。
コーティングを剥がして空焚きした後がこちら。黒錆といってそこまで黒くなく、灰色っぽい感じです。
それから油を塗り加熱します。使用する油は、ハイオレックタイプのベニバナ油やグレープシードオイルがオススメです。加熱するとすぐに煙がでますが、この煙が重合の進んでいる証拠なので怖がらずに加熱しましょう。
重合した油は換気扇に付着している頑固なベトベトの油汚れと似たものです。さらに加熱すると黒色に変化してイメージする黒い鉄のフライパンとなります。
育てたフライパンで調理
鉄のフライパンを料理に使う前に油返しという操作が必要です。これは油を加熱して鉄のフライパンの摩擦を下げる操作になります。
この操作を行わないで低温から焼いたり炒め物をした場合、確実にくっついてこびりつきます。
また、油返しの温度が足りない場合も同様になるでしょう。
これを防ぐためにはフライパンを良く加熱しなければなりません。コツはよく加熱することと定性的に言われていますが、目安として200℃以上に加熱すれば焦げ付きは減ります。
温度計で測定できれば確実ですが、専用の測定器を使わなければいけません。
中国製ですが、大体の温度がわかるのでこういう器具は重宝します。誤差や精度が微妙かもしれませんが、安価で目安として利用できるのであると便利。
これを使わなくても油の発煙点を利用するのもありです。ちゃんと換気扇を回してモクモク煙が出てきたら火を消すなどして対応すれば危険はありません。
ちゃんと加熱してから目玉焼きを作ったあとのフライパンがこちらになります。
カスが残っていますが、こびりつくことなく普通に作ることができました。
火力の加減はまだこのときはわかりませんでしたが、何度も試すうちに使い方もわかってくると思います
参考資料
表面技術, Vol. 78(1998), 191-194
家政学会誌, Vol. 28(1977), 398-402
化学と教育, Vol. 61(2013), 308-311
調理科学, Vol. 20(1987), 45-48
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