有効成分など、一歩踏み込んだショウガの消臭効果について。
はじめに
料理の臭み消しによく利用される食材としてショウガがあります。
例えば、和食ではアジなどの光物の薬味にショウガが添えられていたり、焼き魚や煮魚に添えられていたりします。他には、もつ煮や角煮などの肉料理にも用いられており、肉や魚の臭みを消すにはまずショウガが用いられるといった印象です。
これは国内に限った話ではなく、外国の料理においても同様です。肉料理や魚料理にはショウガを用いることがよくあります。
このように、幅広く臭み消しとして利用されているにもかかわらず、ショウガのどんな成分が何に聞くのかといった話はあまり目にしません。
というわけで今回はショウガの消臭成分について解説します。
ショウガの成分
まずショウガに含まれる成分について簡単に。
ショウガはさわやかな香りがする一方で辛味もあります。主な香気成分は、シトラールと呼ばれるレモンに似た爽やかな香りがします。辛味成分に比べ不安定なため、品種、産地、保存状態によってすぐに変化します。
一方で主な辛味成分は、ジンゲロールやジンゲロン、ショウガオールです。ジンゲロールは生のショウガに多く含まれ加熱すると消えるのに対してジンゲロンやショウガオールは生に含まれず加熱により生成されます。
ショウガの消臭作用
消臭作用は様々なものがあり、主に次の3つに分けられます。
1.化学作用
魚のアミン臭を酸で中和する
2.物理作用
活性炭などに吸着、加熱により飛ばす
3.感覚的作用
臭い成分をマスキングして臭いを感じなくする
以上の3つに分けられます。
ショウガの消臭作用は、オイノゲールと似た構造を持つジンゲロン、ショウガオールなどによるもので臭い成分をマスキングして臭みを感じなくさせる効果があります。
これまで経験的に魚介類、肉類の臭み消しに用いられてきたのには幅広い食材に対して消臭効果が得られることによるものでしょう。
特に臭いに対して効果を感じるのはシュールストレミングを食べるときです。酒で洗うなど現地で行われている手法をいくつか試しましたが、ショウガが最も効果を感じました。シュールストレミングを食べる際はショウガをお試しください。臭いがなければ魚醤や塩漬けに近い美味しいものです。
ショウガと同様の消臭効果が得られるスパイスにローリエやクローブなどがあります。こちらもオイゲールと似た構造の成分を含むものがいくつかあり、消臭を目的として使用されます。
おわりに
なんとなく使用しているショウガの消臭効果はジンゲロン、ショウガオールなどの成分によるマスキングによるものです。
魚や肉、臓物を問わず様々な食材の消臭効果が期待できます。特にシュールストレミングのような強烈な臭いを放つものにも有効なので、食べるときはショウガをお試しください。
参考資料
油化学, Vol.29, No.7(1980), 29-48
生活衛生, Vol.38, No.2(1994), 49-64
日本水産学会誌, Vol.22, No.8(1956), 480-485
コメント