重曹を使うことでメイラード反応が加速し、時間をかけずに飴色のタマネギを作ることができます。
はじめに
飴色のタマネギは作るために30分かかる重労働です。加熱温度を高くすれば早く作ることができますが、高すぎる温度は鍋の焦げ付きの原因となります。
温度センサーつきのガスコンロであれば180度で火は弱まるのですが古いタイプのコンロでの強火の調理は避けるべきでしょう。
温度以外に反応を進める方法があります。それは重曹を使ってpHをアルカリ側に持っていく方法です。
今回はこの方法で飴色のタマネギを作ってみます。
メイラード反応
食品や調理に起こる褐変反応の一つで、糖とアミノ酸が反応して褐色の物質が生成する化学反応です。
一般的に化学反応は温度が高いほど早く進みますが、飴色のタマネギを作るときは焦げ付かないようにどうしても弱火になること、水分が多いため温度が上がりにくく反応が進みにくいことが時間がかかる原因と思われます。
温度以外にも重曹などのアルカリ性の物質を添加することで反応を加速することができます。
還元糖が塩基性でケトンやアルデヒドを形成すること、還元反応が起こることからアルカリ性にすることで反応がより進むと考えられます。
実践
タマネギ1個に対して小さじ1/3くらいを加えて調理します。
切ったタマネギを鍋に入れます。
半透明になって火が通ったら重曹を加えます。
加えた瞬間から色が変わり始めます。
ちょっと炒めるとドロドロに溶けてきます。これは通常の炒め方に見られません。
さらに加熱を続けると水分の蒸発とともに色が変わってきます。鍋肌に付いて水分が蒸発したものの色が強いことから水分が飛び温度が上がるとメイラード反応がよく進んでいる様子がわかります。
10分程加熱すると飴色のタマネギとなります。
重曹を使った飴色のタマネギの味
さてこうやって完成したタマネギの味です。
香りはいいのですが、甘みが少なく感じます。重曹を添加しているので若干苦味があると思いましたが、苦味はありません。香りをかいだだけではわかりませでしたが、口に入れると若干生臭さがあります。
これは何なんだろう。
とりあえずカレーにして食べてみます。
普通に美味しくて違いがあるのかよくわかりませんでした。ビーフシチューにも試したことがありますが、通常に炒めたものとあまり差がないように感じます。
おわりに
重曹を使い10分で飴色のタマネギをつくることができます。しかし、単体の味は微妙な感じ。料理に使えばそれほど気にならなく食べれるかと思います。
飴色のタマネギってそこまで料理の美味しさに重要なものなんでしょうか。
重曹を入れた瞬間に色が変わるのでなんか理科室で実験してるみたいな面白さがあります。まだ添加量の最適化など終わっていませんが、遊んでみたい方にはオススメの方法です。
参考資料
日本醸造協会誌, Vol.91, No.8(1996), 543-550
日本食生活学会, Vol.26, No.1(2015), 7-10
コメント
コメント一覧 (2件)
参考になりました。
一つ疑問があります。
あめ色玉ねぎを伝統的な方法(じっくり炒める)で作る際はメイラード反応反応とともにカラメル化が起こると思うのですが、この方法ではカラメル化による風味は不足しませんか?
それと、甘みが少ない理由は単に水分量が多いのが原因ではないでしょうか。
くるっぽーさんコメントありがとうございます。
おっしゃる通り、カラメル化も同時進行していると思って調べたら次の文献を見つけました。
https://ci.nii.ac.jp/naid/10020369768
こちらによるとタマネギの褐色はメイラード反応によるものとあります。
カラメル化の記載がある文献を探してみましたが、さっと探しても見つけられませんでいた。もし、存じていたら文献名をおしえていただけませんか?
甘みが少ないのは水分量が影響している可能性はあると思います。