塩と氷を使ったシャーベットの作り方と原理

氷と塩を使用した寒剤でシャーベットを作ります。材料さえあれば10分で完成。

目次

はじめに

塩と氷を利用すると-20℃くらいまで温度を下げることが可能です。主に氷が溶けたときに起こる吸熱によってここまで温度が下がります。

好きな飲料を凍らせることができるので色々遊ぶことが可能です。

原理

物質は状態が変化するときエネルギーの移動も伴います。代表的なのは汗。水の蒸発によって熱を奪って体を冷やす働きなんか言葉で知っている方も多いと思います。

氷に塩をかけると吸熱して-20℃程度まで一気に下がります。これを細かく見ていくと次のように整理できます。

1.塩が水に溶ける

2.氷が溶け水になる

3.凝固点降下

といった感じです。それぞれ細かく見ていきます。

塩が水に溶ける

塩が水に溶けるとはどのようなことだと思いますか。単純に溶けているように見えますが、実際はNaCl間の結合が切れ水の中に溶けだします。水の中では、それぞれのイオンに水分子が数個くっついた形で水和しています。

このとき、NaCl間の結合が切れるため周囲の熱を奪います。これはNa+とCl-がイオンとして水中を自由に動き回るためにはエネルギーが必要なため、熱を奪っていくというわけです。

NaCl間の結合が切れるだけなら吸熱反応になりますが、実際には溶けるときに水和しているため、水の吸着分の発熱も考える必要があります。

NaCl間の結合が切れるとき、水和してから結合が切れます。結合すると自由に動き回っていた水分子が自由に動き回れなくなるため、運動エネルギーが熱になるため発熱します。

溶けるときにはこの差し引きをしてトータルで吸熱反応か発熱反応か見極める必要があるわけです。今回の塩化ナトリウムは吸熱反応となります。

氷が溶け水になる

氷が水に溶けるときにも熱の移動があります。場面はちょっと変わりますが、汗をかいたときに水分が蒸発して熱を奪っていくのは良く知られていると思います。これも液体よりも気体の方が動き回るためにエネルギーが必要なため、気体になるときに熱を奪っていく形になります。

個体から液体も同様です。自由に動き回れない水が比較的自由に動ける液体になるためにはエネルギーが必要になります。そのため熱を奪って液体になっていくわけです。

凝固点降下

加えて塩が溶けたことによって凝固点効果と呼ばれる現象が起きます。読んで字のごとく、液体の凝固点が下がります。今回の場合、氷に塩をかけた場所は飽和状態なので-21.3℃まで凍らない液体となります。

複合的に起こる

寒剤は、塩が溶ける吸熱反応、氷が水になることによる吸熱、塩が水に溶けたことによる凝固点降下によって起こります。溶けて熱が下がるように見えますが、実際は結構複雑で専門的な知識も要求されます。

座学はこれくらいにして次は作り方です。

作り方

〇材料

氷    400g
塩    100g
ジュース 200mL

ジュースを厚手のビニル袋にいれます。ない場合は薄手のを2重にするなどして破れにくくしましょう。

氷、塩、袋に入れたジュースを袋に入れます。今回は飲むヨーグルトを使います。

ゆっくりゆすりながら混ぜると温度が下がり始めます。ものすごく冷たいので軍手やタオルで手を覆ったりして対応が必要です。あとはゆっくり10分くらい揺すっていれば完成です。

袋から取り出すとこんな感じです。ちょっと手間取ったり素手で触って手の熱が移ってしまったので一部が溶けてしまいましたが、ちゃんとシャーベットになっています。

冷たいのでちょっと甘みが感じにくいですが、ちゃんとしたシャーベットです。揺すらずに冷やせばアイスキャンディのように固くなりそう。

おわりに

冷凍庫で作るシャーベットを作る場合はかき混ぜる操作が必要で面倒ですが、この方法で作れば強制的に撹拌され短時間でシャーベットを作ることが可能です。

ジュースの種類を変えることで様々な味のシャーベットが作れるのでお子さんと作れたら面白いのかなと思います。

自由研究の時期になるとアクセスが増えるので宿題をひとつ出しておきます。塩化ナトリウムでは吸熱反応ですが、塩化カルシウムでは発熱反応です。なぜなんでしょうね。また砂糖はどうでしょうか。これらも網羅した自由研究にすると面白くなると思うので是非調べてみてください。

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