ほうれん草のシュウ酸を取り除く調理法

ほうれん草の舌全体に残る不快感やえぐみ、苦みを抑えて美味しく食べれる茹で方を紹介します。この方法で調理したほうれん草は大変甘く調味料無しで食べれます。また、胡麻和えにした場合、砂糖は不要です。

目次

はじめに

ほうれん草自体はとても甘くて美味しい葉物野菜です。しかし、苦みや何とも言えないえぐみに舌全体を覆われてあまり食べることができません。

これは、ほうれん草に含まれるシュウ酸と口内のカルシウムが結合して微細な結晶が口内に残ることで不快感が残ります。

えぐみ対策として食べるときに工夫することでえぐみを抑える方法がよく行われています。

例えば、油を使うことで舌に接触しないようにしたり、カルシウムを含む調味料を使われたりしています。特に家系ラーメンでえぐみを感じないのはこの複合効果によるものです。

今回紹介する方法はこれとは異なり、調理する段階でえぐみを抑えます。なので何もかけずに美味しくたくさん食べることができます。また、下ごしらえとして下茹でするときにも使用でき、仕上がりを大きく変えることが可能です。

えぐみの正体のシュウ酸について

まず、えぐみの正体のシュウ酸について軽く触れておきます。

シュウ酸はカルボン酸が2つくっついたものです。構造は単純なので中学高校レベルの化学でわかるかと思います。

シュウ酸は水溶液中ではイオン化して二価の陰イオンとなります。そのため、カルシウムやマグネシウムといった二価の陽イオンと強力な結合を作ります。

この結合を酸で分解しようした場合、pH1.5以上の強力な酸が必要です。胃酸がpH2程度なのでいかに強力な酸が必要日かわかると思います。

えぐみの抑えた茹で方

「にがり」を添加したお湯で茹でるだけです。ゆで時間も冷水に晒す時間も特に変える必要はありません。

にがりの主な成分はマグネシウムですが、カルシウムとよく似た性質でシュウ酸と結合することで不溶性のシュウ酸マグネシウムとなります。家庭で簡単に入手可能なものとなるとにがりが最適なわけです。人工イクラ用に乳酸カルシウムや塩化カルシウムをお持ちの場合はそれで代用してもかまいません。

茹でるお湯ににがりを加えてマグネシウムの濃度が0.2%程度になるようにします。

お湯の量は、ほうれん草1束150g前後に対して1Lが程度が目安です。

液体のにがりは製品によって濃度が異なるので成分次第で加える量を調整しなければいけませんが、粉体のにがりであれば水1Lに小さじ1加えればOKです。きっちり測定しなくても適当な分量をいれれば問題ないでしょう。

茹で上がりはこんな感じで見て目には違いがさっぱりわかりませんが、とても甘くえぐみのないおひたしになります。

普通の茹で方とにがり湯での食べ比べ

通常に茹でたもの上、にがりを加えて茹でたもの下を食べ比べてみます。

通常の茹で方は、最初は美味しいのですが次第に口の中にえぐみの不快感が広がっていきます。途中でギブアップ。

にがりを加えて茹でた方は、えぐ味がなくそのまますべて食べきることができます。とても甘く、ほうれん草の甘みがずっと続き、こんなに美味しかったんだと感動。醤油をかけてもよし、そのままでもよし、好きな食べ方でいけます。

特に冬の露地物は、ほうれん草自身が凍らないように糖分を生成するので大変甘くなり美味しく食べれます。

そのまま食べるだけでなく、バター炒めやスープなどの下ごしらえに使える手法なのでお試しください。

にがりで下ごしらえをすれば結石の原因になるシュウ酸を吸収せずにすみます。ほうれん草が好きだけど結石が気になる場合にも有効な手法と考えられます。

他の料理への展開

にがりで煮るとほうれん草の甘さが際立ちます。おひたしのように冷水にさらさずに軽く湯切りすると、甘みが残るため更に甘くなります。

下ごしらえとしてにがりでさっと茹でてから軽く絞り、胡麻和えにすると砂糖はいりません。糖質を抑えたい場合、重宝します。

また、おひたしのように絞って水分を落としてからグラタンや炒め物にするのもいいでしょう。ベーコンとの相性は格別です。

おわりに

ほうれん草はにがりを加えて茹でるだけでえぐみを抑えることができます。この調理法で茹でたほうれん草は、素材そのものの甘みをえぐみに邪魔されることなく心置きなく楽しむことが可能です。また、にがりを用いた調理はシュウ酸を含む野菜に有効なので下茹でににがりを用いてもいいと思います。

ほうれん草を美味しく食べるために「にがり」を使ってみてはいかがでしょうか。結石が気になる方にもおすすめです。

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参考資料

尿路結石症診療ガイドライン 2013年版

分析化学, Vol.43, No.2(1994), 151-155

日本調理学会誌, Vol.39, No.6(2006), 357-361

腐食センターニュース, Vol.65(2013), 11-27

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • comodoさん
    コメントありがとうございます。
    無限に食べれるのでお試しください。

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