はじめに
枝豆は未成熟の大豆を食べる作物です。うま味は豆の成長に欠かせないアミノ酸などの栄養素なので収穫後、すぐに調理する必要があります。
調理方法はフライパンで焼いたりホイル焼きにすると芳ばしさが引き立って美味しいと言われていますが、今回は最も一般的な茹でる調理法に着目して枝豆を美味しく茹でるための条件の整理から始めてみます。
美味しく茹でるための条件
枝豆の調理工程を細かく見ていきます。
枝豆は難しい工程はなく、次の3ステップで調理されます。それぞれ細かく見ていきます。
汚れと産毛を落とす工程と解説されています。この工程は、枝豆の発色を良くするためといった意味合いもあります。塩味を付るようにも見えますが、鞘の厚みがあり細胞壁も壊れていないため塩味は染み込みません。
加熱して食べれる形態にするものです。生の豆は硬く青臭いので食べられません。そこで加熱して青臭さを消し、柔らかくします。塩を加えているのは味を入れる要素もありますが、枝豆を茹でるくらいの時間では内部まで拡散しにくいものです。強加熱で鞘が開くのを狙うにしても不確実です。
枝豆に塩味をつけてより美味しくします。味を内部に入れていくのは拡散なので結構時間がかかります。すぐに食べたい場合でも数時間は必要です。
塩味を鞘の中に手早く入れるため、鞘の両端をカットする調理法も考案されています。しかし、鞘を一つずつ切るのは大変手間のかかる作業です。これを家庭でやる必要はありません。
誰のためにその苦労をって考えると、業務用の調理法なのかと思われます。
枝豆を茹でる工程で大切な部分は、塩濃度と加熱時間です。塩濃度に関しては、最後に塩を振って染み込ませる部分が重要で、塩味の強弱に好みもあるので今回は細かな検証を行いません。
枝豆の加熱時間に絞って検証していきます。
加熱条件
水 1L
塩濃度 4%(塩40g)
枝豆 300g
下ごしらえとして、枝豆は水洗いし、小さじ1の塩で揉んでおく
所定の茹で時間になったら一部を取り分け、静置(水洗い等はしない)
沸騰したお湯に枝豆を入れ、再沸騰してから1分置きにサンプリング
結果
茹で上がった枝豆を次の図に示します。左上から茹で時間、1分、2分、3分、4分、5分、中断左から6分・・・といった具合です。

生の枝豆にあるような青臭さは、茹で時間が短くても感じることはありませんでした。
そして傾向としては、茹で時間が長くなるほど豆は柔らかくなり色が悪くなります。味も茹で時間の増加とともに抜け、塩味が入ってきます。加熱時間8分以上は煮豆のようなボソボソとした食感に近づき、甘味やうま味も抜けるので良くない結果となります。
そこそこ美味しかったのは5分までの枝豆なので、次表に5分までの味や硬さなどを抜粋して示します。
加熱時間(分) | 色 | 硬さ | 味 | 総評 |
1 | 良い | 硬い | 甘い | 硬め好きなら 味はなかなか |
2 | 良い | やや硬い | 甘い | ちょっと硬め 味は抜群 |
3 | 良い | やや硬い | 甘い | ちょっと硬め 味は抜群 |
4 | やや劣る | やや硬い | 甘い | ちょっと硬め 味は抜群 |
5 | やや劣る | 普通 | やや甘い | 柔らかくなり始め 味はわずかに劣る |
最も美味しかったのは茹で始めてから2-4分のものでした。やや硬めですが、味は抜群です。これより茹で時間を長くすると、枝豆は柔らかくなる一方、味が抜け始めます。うま味と硬さはトレードオフになるのでどっちを優先したいか決める必要があります。
美味しい枝豆の見分け方
かつて枝豆は、根付きで枝ごと販売さていました。
根に付いた粒(根粒菌)が多いほど美味しいといわれてきましたが、近年は栽培方法や収穫方法、枝豆専用の品種の登場など、技術革新があり、かつての目利き方法を使わなくても美味しい物が流通しています。
それでも取れたての物の味にはかないません。もし、取れたての物が手に入ったら生で一粒食べてみてください。美味しい枝豆は、かなり甘味が強く感じます。これが枝豆の味に直結するので、なるべく新鮮な物を購入するのが目利きのポイントです。
また、粒が大きすぎない物の方が柔らかくうま味が強く感じます。しっかり詰まっていると美味しそうに見えますが、実際は違うんですよね。
おわりに
枝豆の最適な茹で時間は、沸騰したお湯に入れて再沸騰してから2-4分です。長すぎる茹で時間は、豆を柔らかくしますが、味も抜けるので早めに切り上げてちょっと硬いくらいで食べてしまうのがいいでしょう。
茹で上がったらしっかり塩を振って少し塩が馴染んでから食べると絶品です。新鮮な枝豆を入手したらぜひお試しください。
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