はじめに
からすみはボラの卵巣を塩漬けにして乾燥させた珍味です。名前の由来は形が中国の墨に似ているから唐墨と呼ばれるらしく、古くから生産されてきた食材になります。
作るのに手間がかかることから価格が高く、一般家庭にあるものではありません。こういうものは自作してコストを圧縮するのが正義です。
それでは作っていきましょう。
作り方
借金玉さんの美味しいからすみの作り方を参考に作っていきます。
材料
材料はボラの卵巣と塩、酒です。欲し網と巻き簾があると綺麗に干せるので用意しましょう。長期保存をするなら真空パック機は必須です。
ボラの卵巣
塩(卵巣と同量程)
日本酒(塩漬けした卵巣と同量程度)
油(最後に塗布するくらい)
欲し網
巻き簾
真空パック機
調理工程の概略
工程は次の通りです。
詳細な調理工程
各工程を画像やコツを交えながら紹介します。
原体はこちら。
待ち針を使って丁寧に血を抜いていきます。まず真ん中の太い血管に穴を数カ所開け、細い血管に残った血を太い血管に集めていくだけです。根気よくやっていきましょう。ある程度血を取ったら水に浸し冷蔵庫で一晩寝かせます。
少し血が残っていても一晩水につけると抜けます。
余計な水分を塩で抜きます。
水が出てきたら塩水を捨て新たに塩を追加して更に水を出していきます。次の工程に移る目安は、持っても曲がらないくらい硬くなったところです。
塩漬けの工程が終わり塩抜きに移る前はこんな感じです。結構硬くなりました。
一度酒に浸し、塩を抜きつつ卵巣に酒を吸わせます。重量比で卵巣と酒1:1くらいにして塩抜きを行います。お酒の種類は日本酒や焼酎、混ぜて使ったり様々です。今回は日本酒オンリーでいきます。
塩抜きは卵巣が芯まで柔らかくなるまで行います。低温だと数日から1週間ほどかかります。
形を整えてから干します。板に重石を乗せれば簡単に形は整います。
こちらは干す前のスタンバイ中の卵巣です。こいつを網に置いて乾燥させていきます。
網に直置きすると曲がってしまうので巻き簾は必須です。直射は避け半日陰くらいが丁度いいと思います。干すときは一日に数回ひっくり返すのがベストらしいのですが、実際には忙しくてできない場合もあります。一日に一回ひっくり返すでも十分かと思います。
干し工程一日目終了後の様子がこちら。一日でかなり飴色になります。終了後は日本酒をスプレーしたりして表面から軽く水分を与え乾きすぎるのを防ぎます。
これを数日から一週間繰り返します。
乾燥の目安は指で押しても指の跡がつかない程度と言われています。これはちょっと乾かしすぎてしまったので翌年への課題としますが、この程度なら内部の水分が移動してわからなくなるので問題ないと思います。
サラダ油を少し塗って袋詰めしたら完成です。
乾きすぎて白くなった部分は一部残りましたがほとんどわからなくなりました。あとは冷蔵庫で保存すれば乾きすぎることなく保存可能です。
うすく切ってカブや大根と一緒に食べればお酒が進むことは間違いありません。
課題
一度作るといくつか課題が出てきます。このあたりを詰めればという自分自身のメモ程度ですが記載しておきます。
血抜き
技能とまで言えるかわかりませんが、血を真ん中の太い血管に集めるのはちょっとコツが必要です。内部の取り切れない血は一晩水につけてもすべてが取り切れるわけではないので、いい個体を選ぶ必要があります。
塩抜きに使う酒の種類
日本酒や焼酎、人によってはウイスキーを使う人もいるそうです。日本酒のような糖類やアミノ酸の多いもの、焼酎のように精製されたもの、ウイスキーのように樽で熟成させて木の成分が溶け込んだもの、何を用いるかで仕上がりがかなり変わります。
酒に溶け込んでいて揮発しない物は特に影響を与えると考えるのが妥当でしょう。
乾燥工程
どのていど乾燥させるのか、日陰、半日陰、直射、室内など作り手によって様々です。乾きすぎずに適度な速度で水分を抜く必要があります。
おわりに
からすみ作りは手間のかかるものです。難しい印象はありますが、実際に作ってみるとそこまで難しさは感じませんでした。ただ卵巣だけでも結構いい値段するので、踏み出す勇気が必要です。
借金玉さんの作り方が丁寧でとても参考になるので初めて作る方は熟読してから作ること失敗しないと思います。
からすみを使った料理は関連記事からどうぞ。
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