完璧な焼き色のローストポークの作り方

クリスマスや誕生日会などパーティに最適なローストポークの作り方を紹介します。

目次

はじめに

ローストポークの作り方は難しいと感じませんか。

近年話題の低温調理器を使えば火入れは再現性が高く完璧に近いものにてきます。しかし、低温調理は万能ではなく、うま味の凝縮や焼き色をつけることには不向きです。

一方でオーブンを用いて作るローストポークの最大の特徴は、濃縮されたうま味と焼き色から放たれる香りです。

今回は複雑な工程を必要としせず、オーブンでほぼ放置して作れる完璧な焼き色のローストポークの作り方を紹介します。

肉の部位と加熱時間

バラ肉や肩ロースといった部分は脂身を多く含むと同時にスジの多い部分でもあります。スジ肉はコラーゲン質が多いので柔らかくするには長時間の加熱調理が必須です。

これまでの経験から、バラ肉や肩ロースを使わずに柔らかくする場合、調理方法に関係なく1時間から1時間半の加熱が必要となります。ただし、圧力鍋は例外。

これだけ加熱したら肉が硬くなると思われますが、脂肪付近の肉は加熱による脱水が進みにくく、長時間加熱しても比較的しっとりとした仕上がりになります。

従って、これらのバラ肉や肩ロースといった部位はオーブンで長時間加熱するのに向いていると考えられます。

焼き色

豚肉や鶏肉は肉が白っぽいため焼き色が付きにくい難点があります。

しっかり焼き色を付ける場合、長時間焼く方法が思い付きますが、原理的に微妙です。焼き色はアミノ酸と糖によるメイラード反応によって生成するメラノイジンの色なのでこいつを増やさなければなりません。

メラノイジンの生成を増やすことは簡単で足りない物質を足せばいいだけです。肉はアミノ酸の塊なので糖が圧倒的に少ないと考えられます。

じゃあ糖分を増やせばしっかり焼き色が付くよねという話になるわけです。そのため、砂糖を少量まぶして焼くキャラメリゼというテクニックを用いることになります。

このキャラメリゼという技法で使われる砂糖は上白糖やグラニュー糖などのスクロースと呼ばれる二糖類で還元性を持たないため、メイラード反応を進めるには不適です。

メイラード反応を進めるのに適した糖はブドウ糖です。詳細はこちらをご覧ください。

関連記事:肉に使用する糖種による焼き色の違い

焼き色をしっかり付けたい場合、甘味が少なくマイルドにメイラード反応が進行するブドウ糖を用いましょう。

オーブンの温度

オーブンの温度設定は、幅広く設定可能で何度に設定したらいいか初見じゃわかりません。

焼き色の試験結果から、焼き色を付けるだけなら150℃もあれば十分と思われるので150℃で調理した結果がこちらです。

焼き色はそこそこついていますが、表面は柔らかく脂はあまり落ちていません。ちょっと脂っぽく水っぽいかな。

それから180℃で焼いたものがこちら。

芳ばしい香り、余計な脂もしっかり落ちていて表面がカリっとしています。

両者を比べると圧倒的に180℃で調理したものの方が勝っているのでオーブンの設定温度は180℃が最適でしょう。

それ以上の高温になると、焦げてしまうので短時間の加熱ならいいと思いますが、オーブンで放置する調理には向かないと考えられます。

作り方

前述した肉の部位、焼き色を付けるために加えるブドウ糖、加熱温度と加熱時間を加味したローストポークの材料や工程は次の通りです。何度かコンベクションオーブン、オーブンレンジなど異なる器具で作っていますが再現性が取れて美味しく仕上がります。

〇材料
豚バラ肉or肩ロース
塩    豚肉に対して1.5-2%
ブドウ糖 豚肉に対して0.5%程度

あとは好みのハーブ類

〇行程
1.塩とブドウ糖を混ぜる
2.豚肉に振りかける
3.180-190℃のオーブンで1時間焼く
4.30分以上冷まし完成

それでは詳細な作り方やコツを。

まず、塩とブドウ糖を混ぜておきます。

バラ肉はキッチンペーパーを当てて表面の水分をしっかりとります。

塩とブドウ糖を混ぜておいたものをふりかけます。つまんで20cmくらいの高さからパラパラふりかければまんべんなく表面につくでしょう。向きを変え肉全体にかけます。

あとは好みのハーブを。今回はローズマリーと黒コショウにしました。

脂身を上にしてオーブンへ入れます。180-190℃で1時間加熱します。1時間たったら余熱で30分冷ましながら火を通します。ちなみにオーブンは温めずに冷たい状態から肉を入れて調理開始としています。

オーブンで1時間の加熱が終わり、余熱で30分火を通せば完成となります。

火を止めて30分もすれば庫内の温度も下がり肉表面の温度は60℃くらいになるので後は切って盛り付けるだけです。熱すぎると焼き目がはがれたりしてしまうので冷ましてから切りましょう。

表面は焼き色がしっかりして脂身はカリっとしています。中はしっとり良い感じ。切れ味の悪い包丁を使うと肉を切るときに押しつぶされる形で肉汁が出てしまうため、一番切れ味のいい包丁を使いましょう。

皿に並べて完成とします。

さて、その味ですが優勝です。勝手に優勝。味付けは、糖分がメイラードによって消費されるため塩のみです。塩だけなのに複雑なうま味、香りがたまらない。

オーブンで放置するだけとは思えない美味しさとなります。

部位による差も何度か調べていて豚バラ、肩ロースに差はありません。ちなみにこちらは肩ロース。

部位による差はなく、しっとりジューシーで焼き目は最高。簡単に再現性良く作ることができます。

味の違いは多少あって、肩ロースの方が豚肉の香りが強めかな。

おわりに

色味の薄い豚肉の焼き色を強くするためにブドウ糖を用いました。結果、焼き色、味ともに申し分ない仕上がりとなります。

手間もかからずにそこそこの量も作れるのでクリスマスや誕生日などのパーティ料理に適しています。

使用するブドウ糖は、あらかじめ粉体になっているものを使いましょう。塊のものを売っているのはよく見かけるのですが砕いたりするのが手間で不向きです。

色々さがしましたが、ブドウ糖の粉体はネットでしか購入できなかったので各種通販サイトをご利用ください。

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