アニサキスによる食中毒が多い鯖も低温調理で安全に食べることができます。
はじめに
鯖はアニサキスが寄生しているため生食に向きません。また、酸に対する耐性もあるのでしめ鯖にしても死滅することはなく感染の予防にはなりません。
一方でで熱に弱く、冷凍や加熱処理することが広く行われています。冷凍の死滅温度は-8から-20℃、お湯では50℃で1分と報告されていますが、熱による処理のほうが確実なため、今回はAnovaで熱処理したしめ鯖を作ります。
作り方
一般的なしめ鯖の作り方とほぼ同じです。最後にAnovaで加熱するだけ。
1.三枚におろして身に砂糖をふり1時間冷蔵庫で寝かせる
2.さっと洗い、塩をふり1時間冷蔵庫で寝かせる
3.さっと荒い、酢に漬けて1時間冷蔵庫で寝かせる
4.Anovaで加熱
それでは画像つきで作業工程を紹介します。
三枚におろして砂糖をふります。内蔵からアニサキスが身に移動するのでお腹の部分はしっかり切っておきます。それから砂糖はガッツリ身が見えなくなるくらいまでかけましょう。ここで水分をしっかり出すのがポイントです。砂糖は分子量が大きいので細胞内に入り込んで甘くなるということはありません。
1時間冷蔵庫で寝かせた後、さっと洗いよく水分を拭き取ってから塩をかけます。このときの塩もガッツリ身が見えなくなるまでかけましょう。塩は多少身に染み込みますが、1時間程度の漬け時間ではしょっぱすぎるということはありません。しっかり味を漬けたい場合はもう少し長めに寝かせるといいでしょう。
1時間冷蔵庫で寝かせた後、さっと洗い水分をよく拭き取ります。それから袋に酢を入れて冷蔵庫で寝かせます。ボールに水を張り水分を抜けばそれほど多くの酢を必要としません。骨で袋が破れるのに注意しましょう。
1時間後、50℃に温めた鍋にいれます。50℃で1分保持すればOKなので内部が50℃になるまで保持しましょう。このとき温度計があると便利なんだけど、面倒だから数分間保持して50℃になって1分たったっとしてざっくり扱ってもいいんじゃないかなと思います。リスクは覚悟するなら。
加熱後、袋を直接流水や氷水に入れで急冷して身をしめます。
袋から取り出すとこんな感じ。少し火が通ってます。これは酸や塩によってタンパク質の変性が進んだためでしょう。
中骨を抜いて盛り付けて完成です。
実食
それではいただきます。
ほとんど生。酢や塩が当たっていた部分は火が通ったようになっていますが、内部はほぼ生です。身が締まり酸味も強すぎず美味しいですが、もう少し酢のつけ時間を長くしても良いかもしれません。
おわりに
アニサキスは鯖に限らず多く多くの魚に寄生しています。不安を煽る情報ばかり先行していていますが、ちゃんと処理すれば安全に食べることができます。
今回は低温調理でしめ鯖を作りましたが、冷凍庫で凍結させてもアニサキスを死滅することが可能です。あとはどちらが美味しく手軽かという話なのでそれは後日試してまた記事にしようと思います。
参考資料
東京都健康安全研究センター研究年報, Vol.62,(2011), 13-24
凍結及び乾燥研究会会誌, Vol.15(1969), 71-75
日本水産学会誌, Vol.37, No.10(1971), 1020-1030
コメント
コメント一覧 (2件)
とても勉強になります!
質問させていただきたくコメントしました。
50℃で1分というのはアニサキス自体をその温度に晒せばOKということだと認識しています。
ということは中心温度を50℃にする必要があるため鯖自体を50℃に1分つけただけでは不十分な気がするのですが杞憂でしょうか。
ご指摘の通り正しくは「芯温」ですね。