調味料を用いたメラノイジンの作り方(メイラード反応)

褐色の芳ばしい香りのもとになる物質を作ります。いまだ全容が不明の反応ですが、調味料を混ぜて加熱するだけで手軽に作れます。

目次

はじめに

肉を焼いたりタマネギを炒めたときに褐色に変化しいい香りを感じたことはありませんか。

これはメイラード反応と呼ばれる糖とアミノ酸が反応してメラノイジンと呼ばれる褐色物質が生成する過程で起こるものです。

料理をする人にとっては最も身近で最も仕上がりを左右する化学反応のひとつと言えます。

今回の記事はメイラード反応について理解を深めてメラノイジンを合成したり料理に応用してみようという話になります。

砂糖を使った技法でキャラメリゼというものもありますが、これはカラメル化によるものなので今回の記事とは別のものです。

メイラード反応に適した糖

メイラード反応は糖とアミノ酸による反応です。糖ならなんでもいいんでしょと思われますが、そういうわけではありません。

糖は還元糖と呼ばれるアルデヒド基などを持ったものではければなりません。

身近な還元糖は、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)となります。一般的な砂糖はショ糖(スクロース)と呼ばれるブドウ糖と果糖が結合したもので加熱によって分解してから反応が進むため、適した糖なのかは微妙なところです。(後述)

メイラード反応の速さはブドウ糖より果糖の方が早く10倍くらい違うとのこと(Wikipedia

メラノイジンを作ってみよう

還元糖はブドウ糖と果糖、アミノ酸はグルタミン酸ナトリウムを使います。これは家庭で手に入りやすいため。

同じmol比で混合して150℃くらいのオーブンで10分程度加熱します。

上段左から、ブドウ糖、グルタミン酸ナトリウム、果糖、
下段左から、ブドウ糖とグルタミン酸ナトリウム、果糖とグルタミン酸ナトリウム

となります。上段は比較用です。

オーブンで加熱したあとのものがこちらです。

上段の砂糖は溶けて飴のようになっているのに対してグルタミン酸ナトリウムは変化なし。

下段の混合物も様子がかなり異なっていて、ブドウ糖との混合物は薄茶色、果糖との混合物は濃い茶色となりました。

ブドウ糖との混合物に比べ果糖との混合物の方がメイラード反応が進んだという結果で文献と一致します。

さて、その味ですが、ブドウ糖との混合物はいわゆるコクといった感じ。単体としての甘味、うま味はなく、異なる雑味に変化しています。もう一方の果糖との混合物も同様ですが、若干苦みが出てきています。

料理に使う糖分について

メイラード反応が早く進む糖がええんやろ!って思われますが、早すぎる反応は制御が困難です。ブドウ糖のほうがメイラード反応がゆっくり進むため料理に適していると考えられます。

一般的な砂糖を用いた場合、熱分解によってブドウ糖と果糖が生成しますが、果糖の反応測どが早いため、どうんでしょうね。

料理に展開する

とりあえず、スープにしてみます。写真はロストしているので後日。

コクのある液体で何とも言えないうま味があります。美味しいのかと聞かれたらどうなんでしょうね。

次に肉の焼き色を増す方法です。特に焼き色の付きにくいブタで試してみます。ブドウ糖とショ糖をつけて150℃くらいで軽く焼きます。

左がブドウ糖、右がショ糖(普通の砂糖)です。ブドウ糖のほうが濃い褐色となり、メイラード反応が進んでいると考えられます。ショ糖は分解する温度以下だったため、果糖の効果が得られなかったと思われます。

味についてはブドウ糖の方は甘味が弱いのに対してショ糖は甘味が残っているので肉料理にする場合はブドウ糖のほうが良さそうです。

おわりに

メイラード反応は還元糖によって進みます。反応速度の速い果糖の方が適していると思われますが、制御が困難なためブドウ糖を使うのが適しています。

料理にコクや香り出しにブドウ糖を使ってみてはいかがでしょうか。使うときは粉体を使うと便利です。

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