水に10分浸してから調理すると吸う油の量を4割以上減らせます。
はじめに
ナス、美味しいですよね。焼いてよし、揚げてよし、煮てよし、どんな調理にも使えます。そして夏から秋にかけては露地物が市場に出回るので安価です。
油との相性がよく、炒めものや揚げ浸しといった油と一緒に調理すると抜群に美味しく、味の乗ってくる秋に食べたくなる料理と言えます。しかし、ナスは油との相性が良すぎるため、非常に油を吸いやすく調理中は、ええんか、こんなにカロリー増えてええんかというお気持ちでいっぱいになります。
そこで今回は油を吸いにくくする方法をデータを交えながら紹介します。方法は単純に水にさらすといったものです。塩水も効果があるそうなので塩水の効果も比較します。
試験方法
ナスは同じ大きさに切りそろえます。それぞれの断面を水道水、1%の塩水に10分間浸して温度を一定に保った油に入れ、吸った油の経時変化を追いかけます。
細かな条件は次の通りです。
・油 キャノーラ油
・ナス 千両系の品種
・加熱温度 95℃(湯煎して保持)
・浸漬時間 10分(水道水と1%食塩水)
作業風景はこんな感じ。

結果など
結果は次の通りです。再現なく油を吸い続けるのでブラング(未処理)の終点を100%とします。

縦軸は、未処理(ブランク)の終点を100としたときに油を吸った割合、横軸は加熱時間となります。
未処理のナスは加熱開始直後に一気に油を吸います。これは日常の調理で見られるフライパンにひいた油を一気に吸うものです。ある程度吸うと、油を吸う量は減りますが、ダラダラと油を吸っていくことがわかります。
一方で水や塩水に浸したナスは、初期に多少吸収しますが、吸収する量を抑制できています。加熱を続け10分後でも未処理のものに比べ4−5割も油の吸収を抑制できました。おそらく、断面に水分があることで油の入り込む場所が塞がれていると考えられます。
未処理と水、塩水に浸したもので初期の傾きに違いは見られますが、加熱して3−4分後の傾きはほとんど同じです。断面に火が通り、油が内部へ拡散していくのは水や塩水に浸すだけでは防げず、必要以上に入れた油を吸っていくということがわかります。
水と塩水の明確な差は見られませんでした。ここでは水のほうが効果があるように見えますが、仮試験を行ったとき、塩水の効果のほうが油の吸う量が少なかったりと再現性が取れていません。とはいえ、水や塩水で処理することで油の吸収をかなり抑えられるのは事実で、ナスが油を吸い続ける問題の対策として有効な手段といえます。
おわりに
油を吸いやすいナスは水や塩水に10分さらすだけで吸う油の量を劇的に減らせます。その効果は未処理のナスが吸う油に対して4−5割です。
他方で切り口の変色を防ぐために水にさらすことが行われてきました。家庭料理に限って言えば、変色は味に直接影響しないので不要な手間に思えます。しかし、吸う油の量を劇的に減らせることがわかりました。
昔から水にさらすことが行われてきたのは、食用油が貴重だった時代、調理に使う油を減らせるというメリットもあったと思われます。
水にさらす操作は、効果を実感しにくかった操作ですが、これからは水にさらしてから調理しましょう。
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