旨味成分の組み合わせ方

旨味を制するものが料理を制す。異なる種類の旨味成分を意識して料理するだけで普段の料理がより美味しくなります。

目次

はじめに

料理を美味しくするのは味、香り、見た目が重要です。特に味覚のひとつの旨味は、日本だけでなく欧米で注目されています。

これは舌の上にある味覚を感じる味蕾という味を感じるセンサーに旨味の受容体が見つかったためです。欧米は旨味に否定的でしたが、味蕾に旨味を感じる機能があるとわかった以上、認めざるを得ないということになります。

料理を美味しくするためには旨味を制する必要があるという訳です。

当たり前じゃんとおっしゃる方、そのとおりでございます。しかし、ただ旨味の出る食材を闇雲に組み合わせるよりも、美味しくなる組み合わせにすることで料理はより美味しくなります。

今回はそんな話です。

旨味成分の種類

旨味成分は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸が主な旨味成分です。

◯グルタミン酸(アミノ酸系)
言わずと知れた昆布に含まれるアミノ酸系の旨味成分になります。野菜類の成長に必須のアミノ酸のため、野菜類に多く、特にトマトに多く含まれます。

酵素反応や発酵によって生成されます。

◯イノシン酸(核酸系)
鰹節に含まれる核酸系の旨味成分です。他には肉類に多く含まれています。特に豚肉、鶏肉に多く含まれます。

加熱しない食材は、酵素によって徐々に分解されるため、加熱処理された煮干しや鰹節に多く含まれます。また、最近出汁として注目されている鯖の水煮が美味しいのも加熱されてイノシン酸を分解する酵素が失活しているためです。

◯グアニル酸(核酸系)
キノコに含まれる核酸系の旨味成分になります。キノコは凍らせることで細胞が壊れ酵素反応によってグアニル酸が増加するためです。

◯コハク酸(カルボン酸)
貝類に含まえる旨味成分です。ホタテ、アサリ、カキなどの貝類から出る旨味はコハク酸由来となります。

これら旨味成分は、組み合わせることで飛躍的に美味しくなることが知られています。では、どのような組わせがいいのでしょうか。

食材の組み合わせ方

旨味の組み合わせは、異なる旨味成分を組み合わせると相乗効果によって飛躍的に美味しくなります。

例えば、鰹と昆布の合わせだしやベーコンとチーズの組わせを用いた料理は、それぞれ単体で用いるより美味しい料理に仕上がっています。

各国の美味しい料理はだいたいこういった組わせになっています。

日本では、昆布と鰹や煮干し、西洋では野菜類と豚肉やベーコンといった具合に美味しい料理は必ず異なる旨味の出る食材から出汁をとっています。

旨味を多く含む食材

各旨味成分を多く含む食材は次のとおりになります。

◯グルタミン酸(アミノ酸系)を多く含む食材
昆布、トマト、野菜、発酵食品(醤油、チーズ、生ハム、エビ、カニなど)

◯イノシン酸を多く含む食品
鰹節、煮干し、肉類(鶏肉、豚肉)、ベーコン、鯖の水煮

◯グアニル酸
キノコ類

◯コハク酸
貝類

グルタミン酸は植物に多く、イノシン酸は動物に多いといったところです。干し椎茸の入った煮物が美味しかったり、野菜炒めが肉を含むと美味しかったり、ブイヨンが出しとして優秀なのはこの組み合わせによるものです。

特に豚肉と野菜の組み合わせが多いのはイノシン酸とグルタミン酸による相乗効果によるものでしょう。

調べていて不思議だったこと

まず、生ハム。

動物系の旨味成分だからイノシン酸だと思っていましたが、実際にイノシン酸は含まれずグルタミン酸が含まれています。これは、肉に含まれる酵素反応によってイノシン酸の分解が進むためです。

イノシン酸が失われつつもグルタミン酸の生成が進むため、結果として旨味は残ります。

ベーコンも同様かと思われますが、イノシン酸が失われる前に加熱工程があり、酵素は失活するのでイノシン酸は残ります。

それからエビ、カニ。

魚介系なのでイノシン酸などの核酸系の旨味かと思いましたが、実際に味を作るのはアミノ酸系の旨味成分によるものです。

どんな事象にも例外はあるので、旨味成分が含まれているものも大体くくれればいいんじゃないかなと思います。

おわりに

旨味に関する基礎的なことをまとめました。

料理をするときはこの組み合わせを意識して食材を選定したりするとぐっと美味しくなります。また、この組み合わせを理解することで隠れてない隠し味やなんでも混ぜればいい謎料理を避けることができます。

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