捌いた骨や頭部から出汁を取ったときの経時変化を追っかけて良さそうな加熱時間を見かけます。
はじめに
魚を捌いたときに出る頭や中骨はどうしていますか。
捨てるのがもったいないので出汁を取ったり中骨は素揚げにして骨せんべいにしたりと、用途はあります。
私は出汁を取って汁物にするのが好きなので適当に煮て出汁を取っちゃいます。いつも適当に加熱してたんですけど、これってどのくらいの加熱時間をとったらいいのでしょうか。
西洋の魚で出汁を取るレシピを見ると、長くても40分から1時間程度とあるのでなにか理由がありそうです。
今回は2時間まで加熱して味や香りの変化を追っかけていこうと思います。
試験方法と条件
〇用いた材料
魚 ウスバハギの中骨30cmくらいの個体
水 1L
塩 小さじ1
昆布だし 顆粒(規定量)
〇加熱条件
水から煮立てて沸騰した時間から2時間煮る
グツグツに立たせず弱火で100℃近くを維持する
加熱中は骨を除去しない
加熱中は加水しない
ざっくりとこんな感じです。
沸騰してからちょいちょい味見をして見た目や味、香りの変化を追っかけます。
結果
結果は次表にまとめます。
加熱時間(分) | 見た目 | 総評 |
0 | ![]() |
うま味のある液体という感じでまとまりはない。魚の香り、生臭さが強め。 |
5 | ![]() |
角が取れて味にまとまりがついてきた感じ。香りはちょっとマイルドになってきたが、まだ生臭さあり。 濁りあり。 |
10 | ![]() |
5分と大差なし。 濁りは減る。 |
15 | ![]() |
味がまとまって来てだいぶ美味しい。香りもいい。 濁りは減り、以降濁りが目立つことはなかった。 |
20 | ![]() |
生臭さが消えてきて魚の香りが心地よい。美味。 |
30 | ![]() |
20分とほぼ同じ。 |
40 | ![]() |
20分とほぼ同じ。香りが少し弱まる。 |
50 | ![]() |
香りは弱まり味はよりマイルドに。 |
60 | ![]() |
50分とほぼ同じ。 |
90 | ![]() |
味はかなりマイルドになり、うまい液体という感じ。香りはだいぶ飛んだ。このあたりから特定不明の雑味が加わる。 |
120 | ![]() |
少しに詰まったこともあり、味は少し強め。美味い液体だけど香りは物足りない。 雑味は消えない。 |
以上の結果から、最も美味しい加熱時間は20-40分となりました。こういった出汁を取る工程は針の穴を通すような加熱時間に感じますが、そんなことはなく美味しく感じる加熱時間に幅があることが分かります。
また、中骨は取らずに加熱しても臭みが出ることはありませんでした。
今回の結果から、中骨から出汁を取る場合、雑な工程でも問題ないことが見えます。
ちなみに終盤の鍋の様子はこちら。
多少の濁りはありますが、懸濁物質がうじゃうじゃ浮遊しているというじょうきょうではありません。このままお吸い物にしても大丈夫と考えられます。
おわりに
今回の結果から、中骨から出汁を取るときの最適な加熱時間は20-40分となりました。幅のある結果となり、ゆっくり操作して問題ないということが言えます。
魚を捌いたら中骨で出汁をとってお吸い物や味噌汁にして骨の髄までしゃぶりつくしましょう。
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