ワンランク上のステーキを家庭で焼きます。
はじめに
ステーキを焼く方法は、様々なものが考案されています。
例えば、低温調理は中を理想的な温度にできるため、高度な技術を必要としません。しかし、低温調理にも弱点があり、焼き色が付きにくかったり、芳ばしい香りが少なかったりします。また、比較的高価な専用器具も必要なうえ、調理時間がかなり長くなってしまいます。
やっぱりステーキは焼いたものが香りも良く美味しい、というところでしょう。
今回、NHKきょうの料理の島田先生の考案した表面を乾燥させた肉を使うレシピを参考にしたステーキの焼き方を紹介します。
肉の表面の水分
肉は7割程が水分で出来ています。当り前じゃねーかと思われますが、これが非常に厄介な存在となります。
調理工程で律速になる物理現象は水の沸点です。これは圧力鍋を使わない限り、100℃以上にはなりません。そのため、焼いても揚げても煮ても100℃以上で化学反応は進行しないわけです。
焼き色はメイラード反応と呼ばれる褐変反応で、150℃前後で最も進行すると言われています。この反応は低温でも進むのですが進行速度が遅く、ものすごく時間がかかってしまいます。デミグラスソースや飴色のタマネギを作る方法に時間がかかるのは、温度が低いためです。
話を肉に戻しますが、肉も同様です。プライパンで焼いても肉からの水分が流れ出てくると、肉の表面は100℃以上にはなりません。そのため、水分の出やすい鶏肉は焼き色が付きにくいと感じることが多々あると思います。
ステーキも同様で特にミディアムやミディアムレアといった焼き加減にするには、焼き時間を短くする必要があり、結果として表面の焼き色も付きにくくなるわけです。
そこで、焼く前にペーパータオルで表面を拭いたりするわけですが、表面に出てきている水分をふき取るだけではちょっと足りません。
そこで、島田先生は、生の肉を冷蔵庫に放置して乾燥させることを考案しています。これは、海外の食肉店で包装されずに冷蔵庫で販売されていることに注目して考案したそうです。表面の水分を飛ばすことで、中から水が出にくくなり、表面に焼き色が付きやすくなります。
肉表面の水分を取る方法
ふたつあります。ひとつは冷蔵庫に寝かせる方法です。これは島田先生が考案したとおり、足つきの網の上に肉を置き、そのまま冷蔵庫で一日寝かせるという方法です。冷蔵庫は低温で乾燥しています。ラップをしないでパンやご飯を入れるとカピカピに乾いてしまい食べれなくなってしまうくらい食材から水分を奪います。
これを肉に応用して一晩裸で寝かせると、表面から適度な水分が抜け乾燥します。それをステーキに用いるというものです。
もうひとつはピチットシートを使う方法です。ピチットシートは食材から水分だけを吸い取ることができます。冷蔵庫に肉を裸で置くよりも短時間で肉表面の水分を吸収でき、シートで肉を包むため衛生的と言えます。
作り方
厚み2cmの肉 200g
バター 10g
ニンニク 1片
塩 1g
黒コショウ 小さじ1/4
ソースや付け合わせは自由です
仕上がった肉の断面はこちらです。

表面にしっかりとした焼き色がつきつつ、中はちゃんとミディアムレアに仕上がっています。ここまで焼き色がしっかりついてミディアムレアに仕上がるとは思いませんでした。もちろん、味もいけます。
この調理法のデメリットは時間がかかることくらいです。いい肉を手に入れたときや特別な日に作りましょう。
おわりに
ステーキを焼く方法は様々なものがあります。その中でも肉の表面を乾かす方法は、多少時間がかかるものの、しっかりと焼き色がつき美味しく仕上がります。
毎月29日は肉の日です。いいお肉を買って焼いてみましょう。
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