フグの卵巣の糠漬けが食べれる理由

解毒機構が不明と言われていますが、希釈効果ではないかという話。

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はじめに

フグはテトロドトキシンという毒を含んでいます。肝臓や卵巣は特に含有量が多く、絶対に食べてはいけない部分です。食べられないものと思われがちですが、解毒して食べれるようにしたものがあります。

それが「フグの卵巣の糠漬け」です。

なぜ食べれるのか、古くは明治から研究されていますが、微生物によるテトロドトキシンの分解が否定されており、何故かよくわかってないけど解毒され食べれるなんか言われています。

理由はどうあれ食べれないものを食べれるようにした日本人の変態さの際立つケースでしょう。

食べれる理由

フグの卵巣の糠漬けは塩漬け後に糠漬けにします。漬け込む期間は2年以上となります。この間、卵巣のテトロドトキシンの濃度は徐々に低下します。濃度の低下は、テトロドトキシンの分解ではなく希釈効果によるものです。

塩析による析出、長時間漬けることによる桶への拡散でテトロドトキシン濃度が低下すると考えられます。

実際、塩漬け中にテトロドトキシンの量は1/5まで低下し、糠漬け過程でも低下して最終的には1/30以下になると報告されています。

ちょっとでも毒が含まれていると不安ですが、毒として働くにはある程度の量が必要です。塩や薬、空気中の酸素に至るまで害になる濃度があります。また、ギンナンのように毒が含まれていても少量なら大丈夫なものもあります。

実際に出荷される製品は、毒性を検査したものが出荷されます。出荷基準も厳しく設定されており、中毒を起こすことはまずないでしょう。

フグの卵巣の糠漬けを食べる

とりあえず食べてみましょう。売っている姿はこんな感じ。

ものすごく塩辛いので薄く切ります。

さてその味ですが、とても美味しい。タラコに近いけど香りや旨味が複雑。癖になる味で白米が欲しくなりますね。お酒なら日本酒が飲みたくなる塩辛さです。

値段も1本で600円前後なので珍味を楽しむには手頃な価格かと思います。

おわりに

フグの卵巣の糠漬けの解毒作用は微生物による分解でなく、希釈効果と言われています。実際に含まれているテトロドトキシン量は1/30以下です。

出荷検査によって毒性の有無も確認されているので安心して食べることのできる珍味といえるでしょう。

味もとてもよく、白米や日本酒によく合うので手にとってみてはいかがでしょうか。

参考資料

日本水産学会誌, Vol.69, No.5(2003), 782-786

化学と工業, Vol.58, No.12(2005), 1415-1418

日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報. フグ

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