Anovaを使ってサンマのコンフィを作ります。オイルやハーブの香りを移してから熱でアニサキスのリスクを下げ生に近い食感を残します。
はじめに
コンフィは油で煮込んだ料理です。あまり高い温度で調理せずにタンパク質が固くならないように調理するのがコツとのこと。
せっかくなので低温調理と組み合わせてやってみようと思います。
魚の低温調理
魚のタンパク質の変性は、食育通信さんによると20℃で変性が始まり45℃で固くなり始めるとあります。調理例では40℃で1時間の保持すると生に近い食感が残せるそうです。
しかし、低温すぎる調理には雑菌による汚染の不安が残ります。なので少し高い温度で短く処理する必要があります。魚で特に注意が必要なリスクはアニサキスなのでアニサキスを死滅させる温度と時間を設定することが必要です。
アニサキスは50℃で1分も加熱すれば死滅するようなので、内部が50℃になって1分ほどで調理完了となります。この温度域であれば、変性反応の速度が上がらずタンパク質が変性して固くなるのは問題にならないでしょう。また、それほど長い時間中途半端な温度にしていないため、微生物増殖によるリスクも低減できます。
サンマのコンフィの調理例
ざっくりとした材料や調理工程は次のとおりです。
○材料 二人分
サンマ 1匹
油 100ml(オリーブオイル)
ニンニク 2片
コショウ 少々
ハーブ 少々(ローズマリー)
塩 ひとつまみ
○調理工程
1.サンマを三枚におろして皮をひく
2.ビニル袋におろしたサンマ、ハーブ、塩、オイルを入れ冷蔵庫で数時間寝かせる
3.50℃に加温した鍋に入れ数分保持する
4.切って盛り付けて完成
ハーブやオイルの香りは冷蔵庫の中で移します。そしてぬるま湯で温めて調理完了です。あたたまると香りもよくなるのでこの工程がよいでしょう。
それでは画像つきで調理工程を紹介します。
まず、三枚におろして皮をひきます。このとき、アニサキスのリスクを取り除きたい場合は腹部をしっかり落とすとよいでしょう。骨も取れるので食感は良くなります。
それからビニル袋におろしたサンマ、ハーブ類、塩を入れます。
ボールに水をはり、沈めて空気を抜きながら縛ったら冷蔵庫へ移します。1時間もあればハーブやニンニクの匂いが移ります。
その後、50℃に保持された鍋へ投入します。温度維持が可能であればなんでもいいのですが、Anovaを用います。内部の温度が50℃に達して1分保持できればいいので数分このままにしましょう。今回は5分弱。
取り出すとこんな感じ。あまり火が通ってる様子はありません。取り出して切って盛り付けてみます。
とりあえず、完成です。外観、触れた感じはほぼ生です。50℃ではタンパク質の変性が進みますが、温度が低いため反応速度が上がらないこと、保持する時間が短くて済むので通常の火の通ったものとは程遠い生に近い仕上がりとなります。
実食
それではいただきます。
口に入れる前からローズマリーとニンニクの香りがよくってとても美味しそうな雰囲気。そんでもって口に入れるとめっちゃ美味しい。ハーブ類の香りがしっかり移っていて本当に美味しい。ほぼ生だし脂も乗っているので口の中でとろけます。
というわけであっという間に食べ終わってしまいました。
おわりに
魚の低温調理は、雑菌の繁殖を抑えつつアニサキスを無害化する必要があります。50℃で1分加熱すればOKです。実際には内部温度が50℃で1分保持する必要があるので数分の加熱しなければなりませんが、この時間であればタンパク質が変性して固くなることはありません。
生で食べたいけど、アニサキスが怖いという方はぬるま湯での処理を検討しましょう。短時間で簡単に処理できます。コンフィのように油を用いなくても大丈夫です。
参考資料
大石圭, Vol.84, No.5-6(1975), 478-489
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