はじめに
鮒寿司は、フナ、塩、炊いたご飯で作られる「なれずし」の一種です。なれずしは、タンパク源、塩、でんぷん質を使用して作られる発酵食品で世界各地、特に東アジアや東南アジアに見られます。歴史も古く、2000年近く前の後漢の文献に出てくるくらい古くからある食品です。
材料がシンプルなのでローカライズしやすく、各地で異なる素材を使い作られています。タンパク源は魚に限らず、肉を使ったり野菜や香辛料をいれたりもされています。日本でも様々な魚を使ったものや飯寿司と呼ばれる野菜を加えたものがあります。
今回紹介する鮒寿司は、琵琶湖固有種のニゴロブナと呼ばれるフナ、塩、炊いたご飯を使い作られたものです。歴史も古く、奈良時代まで遡れます。当時のレシピと同じかは定かではありませんが、古くからある食品が現代でも食べれるのは魅力です。
子持ちの鮒寿司
鮒寿司は卵を持ったメスが良く使われています。特に卵の部分がチーズのように濃厚な味がするそうです。今回購入したものはメスの個体になります。

袋を開ける前は、袋からチーズの香りがして美味しい雰囲気がしていましたが、袋を開けると塩蔵した魚独特の香りがしてチーズのような香りはどこへ?となってしまいました。
とはいえ美味しそうな匂いなのは変わりません。
さて、その味ですが、乳酸発酵なのもあってかなり酸っぱいです。で、うま味も強い。魚臭いチーズと言った感じでしょうか。普通のフナのような泥臭さもありません。オレンジ色の卵の部分はねっとりした食感でクセになります。
直接食べる以外にお店の人がオススメしていたお茶漬けにして食べてみます。

カツオと昆布の出汁をかけただけですが、これはかなり美味しいです。単体だと強烈だった酸味がマイルドになっていい感じですね。
おわりに
鮒寿司は滋賀の珍味として知られていますが食べるのは初めてでした。味も香りも良く、お土産にいいんじゃないかなと思います。言われているほど臭い印象はありませんしね。ちょっと酸味が強いのでお茶漬けにしたり、大根に乗せて食べたりすればいいでしょう。
オスは安価で流通しているそうですが、腹部にご飯が入っているため酸味が強いそうで、せっかく買うなら見栄えのする子持ちの個体を購入してみましょう。
参考資料
国立民族学博物館研究報告, Vol.11, No.3(1987), 603-668
日本調理科学会誌, Vol.50, No.1(2017), 35-37
コメント
コメント一覧 (2件)
イソバイドのページ見てたら、見覚えあるアレが見えました。
そうですね、子持ちでないと美味しくないですね。でも高いんすよねー。
湖東の旧家出身の後輩は家で漬けているって言ってました。それでよくからかわれてましたが、美味しいそうです。
このご時世で実家帰れてないです。次回帰省したら買ってみよう、でお茶漬けトライしてみます。
郷土食を今でも作ってる人がいるとは。ちょっと憧れます。
やっぱり子持ちでないと美味しくないのですか。
卵巣に栄養が取られるから美味しくないと書いている人もいたので気になっていました。
ぜひお茶漬けお試しください。ペペロンチーノもいけるらしいので色々トライしてほしいです。