トランスグルタミナーゼを料理に使う 基礎編

これを使えばキメラの錬成が可能になります。

目次

はじめに

トランスグルタミナーゼは、タンパク質のアミノ酸残基を結合させる酵素です。怪しい酵素に思われますが、人体では血液の凝固や皮膚の形成、傷口の接着に使われ、生命活動になくてはならない酵素のひとつと言えます。

この酵素は、加工食品の食味を上げるために使われ、ハンバーグやカマボコに用いると、弾性が増すとのこと。知らず知らずのうちに食べていると考えられます。

食品用のトランスグルタミナーゼは、味の素から「アクティバ」という名前で販売されています。国内で個人が入手する手段はないので海外の通販サイトを利用して購入する必要があります。

トランスグルタミナーゼについて

トランスグルタミナーゼはタンパク質のアミノ酸残基を架橋させます。すべてのアミノ酸残基ではなく、グルタミン残基とリジン残基を結合させるものです。

肉同士を接着できると聞くと、細切れを接着して一枚肉にするようなのを想像してしまいますが、ハンバーグやソーセージ、カマボコといった加工食品に利用すると、弾性が上がり食味が向上します。また、肉や魚以外では、にがりを使用しない豆腐が作れるところは面白いのではないでしょうか。

この酵素反応の利点は、アミノ酸残基に効く酵素反応なので、副生成物が少なく、余計な味が付きにくい点です。食材自体がタンパク質の塊なので、ありとあらゆる食材に使え、用途に限りがないのも魅力と言えます。

創作系の料理をされている方では、薄く切ったラディッシュをシートにしたり、紅白の刺身を作ったり、面白い使われ方をしてる方がいます。

トランスグルタミナーゼの安全性

添加物は危険に思われますが、メーカーが安全性を確認して政府が許可をしています。また、食中毒や後遺症など現在報告されていません。後述しますが、トランスグルタミナーゼ自体は天然物で、生物が生産したものです。危険である理由はありません。

とはいえ、仕様上で問題になるSDS(セーフティデータシート)は存在します。ラベルに表示義務があるので、ラベルから読み取っていきます。

ラベルには体内がしびれているような表記がされています。

この意味は「短期および長期に飲んだり、触ったり、吸ったりすると健康被害を引き起こす恐れがある」です。何やらただならぬモノに思えてしまいますが、粉製品の小麦でも吸ったら咳込んでしまいなすよね。粉末にはこういう表記が多くされています。

他の急性毒性や腐食のシンボルマークがないことから、しっかり使用方法を守れば安全なものと考えられます。

トランスグルタミナーゼの製法

製法は、文献にはこうあります。

量産化の容易な微生物界からTGを見い出すことを目的に,各地の土壤から伝統的な手法で生産菌を探索することに注力した。実際, 約 5,000株を分離し,ハイドロキサメート生成活性,SDS一ポアクリルアミドゲル電気泳動による高分子化活性,さらに試験管倒置による基質タン パク質のゲル化活性を指標に丹念にアッセイしたところ,種々の菌学的特徴か らStrOPtovertiCillium mobaraenseのvariantと同定された株に,非常に強い TG産生能があることを世界に先駆けて見い出した 。

工業的に菌類に生産させているのはよくある手法ですが、自然界から生産する菌を単離していることに驚きました。文字通り自然由来の天然物ということです。

おわりに

トランスグルタミナーゼは肉の接着だけでなく、ハンバーグやカマボコ、豆腐など利用は多岐にわたります。肉を接着させるだけでなく、弾性が増し食味が向上するというのは魅力的です。

にがりを利用しない豆腐なんか、現代的な製法で面白いんじゃないんでしょうか。

トランスグルタミナーゼで豚と牛を接着してステーキにする

参考資料

日本農芸化学会誌, Vol. 69(1995), No. Supplement, P 474-475

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