はじめに
パスタは茹で調理するのが一般的です。一方で、水で戻してから加熱する、水パスタと呼ばれる物が注目を集めています。
水パスタは乾麺のパスタを茹でた場合と違い、モチモチとした食感になります。多量のお湯も不要で加熱時間も短く済むため、キャンプや災害時の調理法として注目を集めています。
この調理法のいいところは、水につける時間を厳密に守らなくてもいい点です。しかし、どの程度浸漬時間が必要なのかデータを見たことはありません。
そこでデータを取ってみます。
水パスタのデータ取りと結果
水に浸漬したパスタの重量を測定して吸収した水分量の経時変化を捉えます。
条件
条件は次の通りです。
パスタ 100g
水 1L
水温 25℃
このような形で浸漬しました。
結果
測定結果を次の図に示します。縦軸は吸った水の量を百分率で表し、横軸は時間としています。
初期は水を吸っていないので0となります。水に漬け始めた直後は水の吸収が多く、徐々に吸収量は減少していきます。200分も浸漬すれば飽和してそれ以上水を吸収しなくなります。その後もパスタは膨張したり崩れることなく形を保ちました。
水パスタはのびないのか
水パスタは通常では考えられないくらい長時間水に浸します。ここまで水との接触時間が長いとのびてしまうのではと心配になるくらいです。
結論からいいますと、水パスタはのびません。これは、パスタのデンプンがβデンプンと呼ばれる水に溶けない形態になっているためです。その証拠に、パスタがふやけたり形を保てない状態にはならず、漬けた水も乾麺を茹でたよな濁りは見られません。
では乾麺のパスタを茹でた場合をみてみると、水分を吸収した表面側から水に溶けやすいαデンプンに変化するため、茹でている最中にゆで汁が白く濁っていくのが見られます。
モチモチとした食感になる理由
水パスタはモチモチとした食感が特徴で非常に美味しい物です。それでは、このモチモチの正体はなんなんでしょうか。おそらく、パスタの内部まで水分があるため、加熱時間が短く済み麺がのびにくいと考えられます。
水パスタと同じようにモチモチとした食感が特徴の生パスタも加熱時間もさほど長くないことが共通しています。
一般的な乾麺のパスタは、茹でると同時に糊化が進みます。一早く糊化したパスタの表面は茹でている最中に水分を吸い少しずつのびていきます。乾麺のパスタを茹でると表面が柔らかく感じるのはこのためです。
おわりに
水パスタの浸漬時間は3時間も行えば十分です。12時間程度浸漬した場合においてもパスタが緩んで溶けていくことはありませんでした。パスタ自体がβデンプンで水に溶けないため、漬け時間に厳密な時間管理は必要なく大まかな目安で行えば十分と言えます。
長時間水に漬けるメリットはありませんが、デメリットもなく、一晩漬け置いて朝に調理して食べるのもアリでしょう。アルデンテに仕上げるためにはある程度短い漬け時間にする必要があるので次回の課題とします。
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