浸透圧と料理の関係

料理の解説でときどき出てくる専門用語で浸透圧という言葉があります。今回はこの現象がどういったものなのか解説します。

はじめに

浸透圧は、半透膜を介した現象として広く知られています。漬物、煮物、塩漬けなど様々な解説がされていますが、ほんとに?と思えることも多いです。

今回はいくつかの例を上げて解説していきます。

浸透圧について

浸透圧は、半透膜を介した物理現象です。

半透膜は水分子のみが通れる膜になります。非常に小さい孔なので砂糖や旨味成分といった分子量の大きい物質は通ることはできません。

濃度の異なる溶液を半透膜で仕切ると、希薄溶液側から濃厚溶液側へ水分子のみが移動します。このときの液面差を浸透圧と呼ぶわけです。

それでは色々な料理における浸透圧を解説します。

下ごしらえ

食材の下ごしらえで塩濃度1%くらいの食塩水がよく用いられます。生物は大体1%弱の塩濃度なのでこれよりも薄い水道水などを下ごしらえに使用すると、水を吸って水っぽくなってしまいます。

塩を用いないこともあり、例えばキャベツの千切りやタマネギのスライスは、水に晒すことで水分を吸いシャキシャキした食感になります。

漬物

塩漬けにした場合、塩が吸った水分で非常に高い浸透圧が生じます。

野菜は生の状態で漬け始めるので細胞の半透膜は機能しています。野菜細胞内の塩濃度が低いので外部の塩や塩水へ水分のみが移動して水が浮いてきます。

一方で塩はイオン化した場合でもイオン半径が小さく、半透膜を通り抜けてしまう場合があります。また、半透膜が機能しなくなると内部へ拡散していくので塩抜きという操作が行われる場合もあります。

脱水シート

ピチットシートのような脱水シートは、半透膜の内部に糖類が入っています。

内部の浸透圧は非常に高いので、肉や魚などの生物に関わらず、豆腐やこんにゃくなど、水分を含む食材から水分を吸い取ることができます。

食材側の半透膜の有無に関わらず短時間で脱水できる素晴らしい調理器具です。

煮物

煮物に味が染み込むというところで浸透圧が用いられることがあります。

半透膜は水分子のみを透過します。仮に煮物が浸透圧の影響を受けるのであれば味は染み込みません。

煮物への味が染み込む話は拡散の話なので浸透圧は関係ないということがわかります。

アサリのお湯洗い

昨今話題のアサリの砂抜き。

お湯を使うと簡単に砂抜きができるけど、旨味も一緒に抜けてしまいます。これも半透膜がという説明をされるかたがいますが、半透膜は水分子以外を通さないので旨味がお湯側に抜けることはありません。

実際のところはタンパク質の変性によってアサリ内部から旨味が抜けて切れるといったところでしょう。

おわりに

浸透圧は半透膜があって初めて生じます。

料理においては水を吸わせてシャキシャキにしたり、余分な水分を除去するときに有効な物理現象です。

拡散とごっちゃになってしまいがちですが、現象を理解してから料理に展開できればより美味しいものを作るヒントになるでしょう。

脱水シートは浸透圧を利用した新しい下ごしらえです。塩や砂糖の味を食材に移すことなく水分のみを抜くことができるので味の濃縮や食感の改善ができます。

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