粉引きの白っぽいうつわが好きで愛用しています。魅力や使い始めの処理方法、日々のメンテナンスなど紹介します。
はじめに
食器はどんなものを使っていますか。
電子レンジや食洗器で使用できる量販品を使用している方が大半かと思います。一方で昔ながらの製法で作られる陶器や磁器のうつわがあり、これらの多くは急激な温度変化を嫌うため電子レンジや食洗器に使用できません。
また、伝統工芸品は使用したことがないという方もいるでしょう。
今回は、そういった方に伝統工芸品のひとつの粉引きを紹介します。
一見、扱いが面倒で不便に見えますが、自分だけのうつわとして色合いが変化していくのを楽しめます。
陶器と磁器の違い
まず、陶器と磁器の違いについてざっくりと。
違いは材料によって違い、陶器は土、磁器は石です。見た目じゃちょっとという方は爪を軽く当てて音を聞いてみてください。低い音がしたら陶器、高い音がしたら磁器です。
陶器は材料が土なので吸水性があるため、ものによっては目止めなどが必要です。一方で磁器は吸水性がないため、楽に使えます。市販の食洗器や電子レンジで使用できるものは大体が磁器になります。
こうみると陶器はとても扱いにくくなんで使うの?と思われるかもしれませんが、手間のかかる子ほど可愛いといった感じで何とも言えない魅力があります。
粉引きについて
通常、陶器は釉薬をかけて焼くのですが、粉引きは白い泥をかけてから透明な釉薬をかけて作ります。陶器は土から作られること、ピンホールがあるため水が内部に入りやすいことから水の侵入は防げません。また、粉引きに至っては白い泥があるため、色移りしやすいという難点があります。
しかし、粉引きのうつわには難点以上に大きな魅力があります。
例えば、一つとして同じものはありません。作家が手作りで作ることもあり、形も微妙に異なります。そして表情も違い、白い泥のかかり具合も違うため同じものは二つとしてありません。
購入するときにいくつも並べて選ぶのは作家ものを購入する醍醐味とも言え、特に粉引きはひとつひとつの表情が大きく異なるので選ぶ作業は楽しいものです。
購入後、使用前にすること
粉引きはその構造から色移りしやすく扱いが難しいと言われています。が、言われているだけです。慣れればすごく簡単。
よく言われているごはんや小麦粉、米のとぎ汁を使用した目止めは不要です。なぜなら、こういった炭水化物はカビや雑菌の栄養になるから。わざわざ取れにくいうつわの内部に栄養を届ける必要はありません。
では、どうするのか。
使用する直前に水に数分浸して内部を水で満たすだけです。水で隙間を満たしておけば油や色でシミになるのを防げます。
特に油は水と混ざらず水の表面張力を押しのけてまでうつわの隙間まで入り込みません。
使用前に水で濡らしておくだけで粉引きの処理は十分です。こうすればゆっくり成長していくのを楽しめると思います。不注意で出来てしまったシミはそのうつわだけの魅力ということにしましょう。
日々のメンテナンス
日々、丁寧に使用していてもカビてしまったり色移りしてしまうことがあります。こうなったときの対処法について解説します。
〇カビてしまった場合
カビの色や臭いがついてしまうことがあります。こうなった場合、除菌と漂白を行いましょう。除菌は熱湯で十分ですが、漂白は酸素系の漂白剤を使います。
カビキラーのような塩素系でもいいのですが、水酸化ナトリウムが高濃度で含まれ内部に入り込むのでその後の処理に時間がかかります。
そのため、漂白は過炭酸のみで界面活性剤を含まない酸素系漂白剤を使い漬け置いて色が抜けるまで待ちましょう。
〇色移りしていしまった場合
丁寧に使用していても完全にシミを防ぐことはできません。一番簡単なのはうつわが成長したんだと思いあきらめることです。
どうしても何とかしたい場合は、酸素系の漂白剤を使って漂白します。こちらもカビと同じように色が抜けるまで漬け置く必要があり時間を要します。
油がしみてしまった場合は対処不可能です。素敵な模様だと思いあきらめましょう。
おわりに
粉引きのうつわは電子レンジにも食洗器にも使用できず不便に感じます。しかし、ひとつひとつ形や色合いが微妙に異なるため、選ぶ楽しみ、色合いの変化する楽しみが出てきます。
近年の時短や効率化などは程遠く、はっきり言って不便です。手間はかかりますが、そこが愛おしい。
売っている場所は食器を扱っている専門店や産地へ行ってみるのをオススメします。まずは色々な所へ行って様々な作品に触れ気に入ったものを買いましょう。
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