陶器のうつわのメンテナンスの一例。カビ臭のする急須から臭いを取り除きます。
はじめに
陶器のうつわは、素地に隙間があるため吸水性があります。
目止めの際に使用した重湯の有機物や飲食物がこの隙間に入ると除去するのは困難です。また、これらを栄養としてガビが湧くことがあります。
こうなったらおしまいというわけでなく、時間とエネルギーをかければなんとかなる場合があるよという話。
対処法は薬品を使う方法と使わない方法の2つがあります。
薬品を使う方法
酸素系漂白剤の過炭酸を使います。
過炭酸は炭酸と過酸化水素が結合した物質です。過酸化水素は分解して酸素と水になるので塩素系の漂白剤のように残留することはありません。
過酸化水素による除菌と漂白作用で臭いの原因を除去するというコンセプトです。
使い方は簡単で40−50℃のぬるま湯に1Lに大さじ1/2加えて使用します。
1時間おきに数回作り変えるというものです。
過炭酸は洗濯機の洗浄にも使えるので洗剤のひとつとして常備しておくと便利です。
関連記事:過炭酸と次亜塩素酸を使った洗濯機の洗浄
うつわを煮る方法
鍋で煮ます。
煮ることで除菌ができるほか、陶器内部に吸着していた臭いを脱離させることが可能です。
ただし、1度で処置が完璧というわけではなく、何度か煮て冷ましてを繰り返して臭いが枯れるまで煮る必要があります。
熱湯に直接入れるとうつわが割れる可能性があるので水から加熱していきます。沸騰させて弱火で気の済むまで煮てゆっくり冷まして終わりです。
グツグツ煮るとうつわが鍋の中で揺れて割れる原因になるので、弱火で100度弱になっていればいいと思います。
パスタ鍋の中のカゴの中で煮ればガチャガチャ鍋にあたることもないのでパスタ鍋で煮るのがオススメ。
実践
カビ臭くなっていた急須で試します。お湯を注ぐと中から何とも言えない臭いがするのでサンプルには十分でしょう。
見た目はいかにも土といった感じの急須です。

水から煮て沸騰したら弱火で30分維持して自然放冷。冷めたらお湯を入れて臭いを確認します。
1度目、2度目、3度目と回数を追うごとに臭いは少なく感じるようになり、4度目で臭いが枯れたといった感じです。
この結果をもとにカビ臭の付いた陶器は、2−3時間煮ると臭いが取れる可能性があるくらい。軽症であればもっと短い時間ですが、重症だとさらに長い時間煮る必要があると思います。
とはいえ、カビ臭は煮れば枯れるということがわかりました。
おわりに
カビ臭を除去する方法は、過炭酸を使う方法と煮る方法があります。
今回は煮る方法で2−3時間煮ることでカビ臭は枯れることを確認しました。カビの状況により、加熱時間は前後すると思いますが、参考になったらと思います。
過炭酸を使う方法はまだいい条件出しができていないので見つかったら追記します。
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