熱を伝える媒体が空気のため、昇温に時間がかかります。目的の温度にするのはお湯で行い、保温するくらいの使い方がいいのかもしれません。
はじめに
テスコムから販売されている低温コンベクションオーブンは、低温調理が可能と言われています。実際にデータを取って見ると、オーブン庫内の温度は普通のオーブンに比べ安定しており、これなら可能ではと思う程です。
しかし、オーブンでは熱を伝える媒体が空気なので、素早く温めるのに適していると言えません。また、裸の肉をポンと調理しても、表面の水分が蒸発して温度が安定しないと考えられるので袋に入れた調理が必須です。
今回は実際のデータを交えながら、低温調理できるような制御方法を模索していきます。
温度測定結果
庫内の温度は55℃します。
袋に入れ、液漏れ防止のため、一応アルミの型に入れておきます。アルミなら熱伝導もいいので問題ないと思います。温度計はその底部に設置しておきます。
余熱して55℃になったオーブに入れて温度を測定した結果が次の図です。
縦軸は温度、横軸は経過時間としています。
温度は、じわじわと上昇しますが、90分経過しても55℃になることはありませんでした。通常の低温調理器では、水で熱を伝えているため、肉表面もしくは水と袋の接触部はすぐに55℃になるのですが、このような結果となりました。
低温調理の必須条件の一つに、微生物が増殖しやすい温度域を素早く上昇させることがあげられます。このオーブンでは素早く温度を上げることが苦手なため、あらかじめお湯に浸しておくなど、初期の温度を上げる対応が必要です。
その他の使用上の注意点
使っているときに気になった点を。
まず、庫内の高さがちょっと低い。
これは、トースターあるあるなのですが、このオーブンにも言えます。先ほどの低温調理で使用したときに使用したケーキの型ではギリギリです。
温度は石英管のオンオフによって保持されますが、石英管の温度が結構高くなるので、低温調理時に使用する袋が触れたら容易に溶けて穴が開きます。なので絶対に触れないように、高さのあまりない容器か袋のまま庫内に入れましょう。
ジップロックが公式に使える袋ということなので、チャックつきの袋をポンと置いてもいいかもしれませんね。ただし、もれたら庫内が大変なことになるので漏れ対策に浅めのバットを敷いたほうがいいと思います。
それから、温度設定の数字が細かくできない点があげられます。
通常の低温調理器は、0.5℃とか1℃単位で設定可能です。しかし、低温コンベクションオーブンは5℃や10℃刻みとなっています。
厳密に温度管理したい場合や再現したいレシピの温度が設定できない場合はこのオーブンでは物足りなく感じます。
まぁ、実際に1℃刻みで制御するしなくても55℃60℃65℃の3点くらいが使えれば十分な気もしますけどね。
低温調理実施例
とりあえず実施してみます。
面倒なのでお湯で温める工程を省き、常温からちょっと高めの温度にして保持します。
例えば、60℃で保持したい場合、70℃か80℃に設定して肉に仕込んだ温度計が60℃を超えたら設定値を60℃に戻して保温するといった感じで行います。
4cm前後の肉であれば、表面温度が所定の温度になれば、1時間強で内部の温度が所定の温度になります。(たぶん)
それから1時間も保持すれば十分でしょうということで60℃の低温調理を行います。
液漏れ事故を防ぐため、ケーキの型に肉を入れ、型と袋の間に温度計を仕込んでおきます。
内部温度の測定は物理的な操作が困難なため、表面が60℃に達してから1時間保持して調理します。
袋から肉を取り出して焼き色をつけて完成となります。
切るとこんな感じです。
一見、雑な操作に見えますが、ちゃんとロゼ色で美味しそうにできました。
味もなかなか。調理工程を隠していれば低温調理なのかオーブン調理なのかわからないと思います。
おわりに
低温コンベクションオーブンは、低温側の性能が強化されたこれまでにないオーブンです。
オーブン自体はちょっとクセがあるため、温度設定しておけば簡単に低温調理が可能なわけではなりませんが、温度を測ればちゃんとした低温調理ができます。
電子レンジとトースター以外の調理家電として初めて購入するんだったらオススメです。また、物を極力減らして1台でなんでもやりたい場合にもいいかなと思います。
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