メロンの常識が変わる新品種がカタログに掲載されました。その実力を確かめます。
はじめに
皆さんメロンの皮や種は食べますか。硬いし食えるわけないじゃん、というのが普通の感覚です。しかし、種苗会社努力で品種改良が進み、皮や種まで食べられる品種が登場しました。
品種名はアップリー(仮)。ナント種苗さんのカタログに掲載されています。


カタログではしっかりと「皮は薄くてサクサク」とか「タネも食べられる」との記述があります。名前の由来はカタログにある通り、リンゴのように丸かじりできちゃうところなのでしょう。
記述だけ見るとメロンの概念を突き破るような印象を受けます。
アップリーの外観

アップリーの大きさは、こぶし大で400g前後です。マスクメロンのような網目はなく、ツルっとした表面をしています。

近づいてみてもなんの変哲のない普通の網なし小型のメロンといった感じでしょうか。半分に割った様子がこちら。

見た目は、小さい普通の青肉系メロンといった感じです。香りも特徴のある香りではなく、普通のメロンの香りがします。近づいて撮影した様子がこちら。

タネは普通のメロンと変わりなく、端部の尖ったメロンのタネです。色、形、大きさどれも一般的なメロンと変わりありません。
アップリーの味、皮やタネの可能性

食べた感想や皮やタネが本当に食べれるのか試してみます。
まずタネから。
タネは固くて無理です。噛んで砕いても硬いし、噛まずに飲み込むにしたって端部が尖っていて気になります。すごく贔屓目に言ってしまえば、口の中に入れて飲み込めます、よって食べれます!って感じですかね。食べれるけど美味しくはありません。
それから皮。
果肉と一緒に食べるとサクッとしていて食べれてしまいます。違和感なく食べることができ、苦味や食感にマイナスな印象を受けませんでした。ただ食べて美味しいというわけではないので、そこだけご注意ください。普通のメロン同様に皮に近づくほど甘みは落ちます。
最後に味。
味は薄味のメロンと言った感じで甘みは薄く感じます。カタログ値では糖度13-15になるそうですが、実際はなんぼなんでしょうか。糖度計でなんぼくらいを示すのか見てみます。

糖度でいうと8くらいです。
カタログ値にあるような糖度に達しておらず、薄味に感じるのに納得の糖度となりました。糖度に関しては、栽培方法でかなり変わるので、甘みが乗ればサクサクした大変美味しいメロンになることが期待できます。今後が楽しみの品種です。
メロンのタネを食べる国
世界は広く深いものです。メロンのタネを食べる人たちがいます。それが韓国です。
韓国では、マクワウリの一種のチャメと呼ばれるメロンのタネを食べるそうです。タネ自体も小さく気になりにくいらしく、甘いワタの部分と一緒に食べる人が多いとか。
私個人の感覚としては、タネを含むワタの部分は甘い一方で舌がピリピリするので食べるのに向いてないんじゃないかなと思っていました。これは網目のあるマスクメロンやアンデスメロンでのことなので、マクワウリ系には当てはまらないのかもしれません。
チャメの売ってるのは見かけるのでそのうち試してみます。
おわりに
皮だけでなくタネまで食べられるメロンの新品種「アップリー(仮)」は、皮はサクッとしていて食べれる一方、タネはちょっと無理がありそうな感じでした。果樹界隈では、食べれる≠美味しいというわけではなく、口に入れて飲み込めるものくらいの認識です。
現在は商業流通しておらず、カタログの予告品種として登場しています。放任栽培で鈴なり、糖度も13-15になるので家庭菜園で楽しむのに最適ではないでしょうか。
今回試食した個体は糖度がちょっと低めだったため、栽培方法がしかりとして美味しい個体が食べれるのであれば、食感的にアリだと思います。
参考資料
ナント種苗総合カタログ2023, p.8,65
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