脱水シートの自作

パンチェッタや干物を作るときによく使われる料理小物の脱水シート。食材の水分だけを落とせることから旨みの凝縮に利用されています。この脱水シート、市販されているものが非常に高価。そのため、使用するのをためらってしまうことがあります。今回はこれを自作してみようかなと思います。まずは原理原則の浸透圧について解説します。

浸透圧について

浸透圧は、水分子だけの通ることのできる膜を介して見られます。この膜は、半透膜と呼ばれていて、一般的には直径0.8nm以下の穴が開いています。水分子の大きさは0.3nm(推算)なので水分子はこの膜を通ることができます。

次の図では、濃度の異なる水溶液を半透膜で仕切った模式図を表しています。半透膜は、濃度の異なる溶液を接触させると、水を移動させて濃度を同じに保とうとします。図に示すように水の高さが変わります。浸透圧が液面の差として目視確認できます。

半透膜について

市販の脱水シートは、メーカーHPによるとポリビニルアルコール製とされています。ポリビニルアルコール製のフイルムは、企業向けに販売されているものの、個人への販売は行っていないらしい。残念。

そこで、簡単に手に入り安価なセロファン紙に着目しました。安くてそれなりの枚数が入っているのがこちらの商品。店舗だとハンズで買えます。でもしょっちゅう品切れしてるの模様。文房具のセロファンも半透膜なので使えます。だたし着色料の使われていないものを選ぶ必要があります。いちばん安くて使い勝手が良さそうなのがこちらになります。

溶質の選択

水によく溶けて濃度の高い液体を作れる溶質は、身近なものだと砂糖と塩です。

塩は、分子量が小さく、水溶液になる際にイオン化するため、非常に高い浸透圧が期待できます。しかし、水和イオン半径がNa:0.36nm、Cl:0.33nmと孔径より小さいことから食材側への透過が懸念されます。

一方砂糖の成分のスクロースは直径1.1nm(推算)なので半透膜の孔径より大きい。そのため砂糖が身近に手に入るものの中で最良のものと考えられます。

料理への利用

食材をこの半透膜で包み浸透圧の高い水溶液を半透膜に接触させると、食材から浸透圧の高い水溶液へ水分子の移動が起きます。そのため、味が凝縮されて美味しくなるとのこと。

実際の使用方法は、食材を包み、膜に砂糖を接触させておくと水分を吸ってくれます。ただし、砂糖は粉体なので扱いが少し難しい。その対策として霧吹きで少し濡らしてから接触させるとよいでしょう。

ハンドリングが良い水あめを使うのもありかと思います。セロハンはパリパリだけど、霧吹きや消毒用エタノールを吹きかけるとしっとりして扱いやすくなります。

実際にこの方法でパンチェッタを作ってみた記事はこちらになります。ピチットシートのような脱水シートをセロファンと砂糖で代替することでちゃんと作ることができます。

自家製パンチェッタ
ピチットシートのような脱水シートを使わずにセロファンと砂糖で代替してパンチェッタを作った。
まとめ

・半透膜はセロファンで代替可能

・セロファンで包み砂糖や水あめで覆うと脱水できる

参考文献

EICA: 15 (4) 44-47
after J.N. Israelachvili, “Intermolecular and Surface Forces”

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