鉄のフライパンの育て方 理屈編

一生もの、育てるというキーワードに心が動いて鉄製のフライパンを買ってしまったので育て方を調べてまとめました。

ネットで散見する話をまとめ

・焼いて表面に酸化被膜を作る

・油でコーティング/重合させ被膜を作る

・洗うのはお湯

・使用前に油ならしをする

・使い終わったら火であぶって水を飛ばし油を塗る

ポイントは酸化被膜と油のコーティングにあることが大体わかります。ではそれぞれがどんな役割を果たすのかなってのを調べてみました。

酸化被膜を作る

鉄の酸化物は色々あるけど、フライパンの表面につける酸化被膜は黒錆びの四酸化三鉄。横文字だとマグネタイト、漢字だと磁鉄鉱と呼ばれるものです。この被膜を作ることで内部の酸化を防ぐことができます。また、金属の酸化物は疎水性を示すことが報告されていることから、フライパン表面が油によく馴染むということがわかります。

油でコーティング/重合させ被膜を作る

%e9%87%8d%e5%90%88油ならしをしてフライパンに油が重合した層を作ることで錆や焦げ付きを防ぐフライパンに成長します。では、この油が重合した樹脂層というのはどういうものか、次の図でその様子を解説します。これ図はリノール酸の構造式の一部を表しています。

化学に知識のある方だけではないと思うので簡単に説明します。油の成分の中には、二重線で表した二重結合と呼ばれる弱い結合をもったものが含まれます。ここに外部からエネルギーを加えると結合が切れて化学反応を起こして別の物質に変化してしまったりします。このリノール酸は、酸素と熱によって結合が切れ、これが他のリノール酸分子と結合いして重合反応が進みます。そのため粘度が高くなったり、固まったりします。これをフライパンの表面で行えば油が重合した層ができることになります。

重合に適した油

前述したリノール酸を多く含む植物油が適しています。例えば亜麻仁油・桐油・芥子油・紫蘇油・胡桃油・荏油・紅花油・向日葵油などの乾性油が上げられます。ちょっと意外かもしれませんが、ヘルシーなイメージのオリーブオイルは、2重結合が1ヶ所しかないオレイン酸の含有量が高いため適していません。

安全性

色々話題になる安全性。トランス脂肪酸が悪いとよく見かけるけど、重合してしまったものはなかなか分解したりしません。だって換気扇のベトベトってどうやってもとれないでしょ?こんなものが人体に入ったとして分解できません。ましては疎水性なわけだから水に溶けません。なので影響はほぼないと考えるのが妥当です。

最適な手順

今回調べてわかったフライパンを育てる最適な手順は次のとおりです。

・フライパンの地肌を出す

・加熱し酸化被膜を作る(玉虫色から青灰色にかわる)

・いったん冷ます

・亜麻仁油を薄くのばして加熱

・冷ます

・油を塗って冷ましてを何度か繰り返す

・通常の使用後は、洗剤を使わずに水かぬるま湯で流す

実際にこの方法で育てたフライパン、スキレットは次の記事になります。

鉄のフライパンの育て方 実践編
鉄のフライパンは1日あれば育つ。
スキレット買ったので簡単な方法でシーズニングした
基本的には鉄のフライパンと一緒の方法。
参考文献

表面技術, Vol. 78(1998), 191-194

家政学会誌, Vol. 28(1977), 398-402

化学と教育, Vol. 61(2013), 308-311